ニキビの種類と原因

ニキビとは

ニキビは正式には「尋常性ざ瘡」と呼ばれ、思春期に発症し、30代半ばまでくりかえす、ありふれた皮膚病です。「思い思われニキビ」と言われるくらい、恋し恋される思春期のニキビは「青春のシンボル」とも言われ、これまでは真剣に治療に取り組む姿勢が医療側にも欠如していました。しかしながら実際は、ニキビに悩んで来院される患者さんの心痛は計り知れないものがあります。

ニキビは、顔や上半身に存在する皮脂腺を伴った毛穴に生じる慢性の炎症性疾患です。

  1. ニキビは毛穴の詰まった状態、目に見えない微小面皰(コメド)から始まります。
  2. 目にみえる、白い白色面皰(白ニキビ)、黒い面皰(黒色面皰)に進化します。
  3. 炎症が生じて赤色のぶつぶつ赤色丘疹(赤ニキビ)や化膿してくる膿疱(黄色ニキビ)へ進行します。
  4. 症状が悪化すると毛包が破壊されて、嚢腫、結節などのしこりを形成します。
  5. ニキビが長引くと、赤み、シミ、凹んだ痕(萎縮性瘢痕)、盛り上がった痕(ケロイド)などのニキビ痕が残ることがあります。

原因

1.皮脂分泌の亢進

皮脂は男性、女性ともに思春期になると増加します。皮脂分泌はとくに男性ホルモンに影響を受けます。ニキビの重症の具合は皮脂分泌量に相関します。ただ、必ずしもすべてのニキビ患者さんで皮脂が増えるわけではありません。皮脂のなかでも過酸化脂質が角化、炎症の誘導に関係しています。

2.内分泌因子

男性は思春期になると二次性徴として男性ホルモンが上昇します。女性では卵巣、副腎からデヒドロエピアンドロステロンが分泌され、皮脂腺に存在する酵素の働きにより男性ホルモンへと変換されます。さらに、男性ホルモンは皮脂腺に存在する男性ホルモン受容体に作用し、皮脂が分泌されます。

3.脂腺毛包における毛包漏斗部の角化異常

ニキビは毛包脂腺系の疾患です。人体の毛包には軟毛性毛包、脂腺性毛包、終毛性毛包の3種類があります。軟毛性毛包はいわゆる“うぶ毛”であり、毛は短く、細く、皮脂腺も小さいです。脂腺性毛包は毛孔が詰まりやすい性質を有し、皮脂腺は大きく、多房性で毛は短く、細いです。終毛性毛包では毛は太く、毛包は大きいですが、皮脂腺は小さいです。ニキビは脂腺性毛包で発症し、顔面、前胸部、上背部に多く分布するので、これらが好発部位となります。角化にはIL-α(サイトカイン)、フィラグリン、過増殖型ケラチンも関与しています。

4.C.acnes (ニキビ菌)の増殖と炎症

ニキビは感染症ではありません。しかしながら、C.acnesという常在菌がニキビの発症に密接に関与しています。C.acnesは正常な皮膚にも存在します。常在菌であるC.acnesがどのようにニキビを発症させるかは以前より未解決でしたが、近年、自然免疫という観点から解明しつつありあす。また、近年、IL-17,IL-β,TGF-βなども関係していることが判明してきました。

治療

ニキビ治療の基本は、日本皮膚科学会作成の治療ガイドラインに則り行います。治療ガイドラインは2008年作成が開始され、2015年、2017年、最新版が2023年となります。

2008年からアダパレン(ディフェリンゲル)が日本に導入され、面皰治療が可能となり、ようやくニキビ治療が世界水準に到達しました。その後過酸化ベンゾイル製剤のベピオゲル、デュアック配合、エピデュオゲルが次々と発売され、ほぼ重要な外用剤がでそろいました。現在は、この4剤を中心にニキビ治療が実施され、急性炎症期から維持期まで保険治療である程度満足できる治療が受けられるようになりました。

ニキビの重症度

治療にあたり重要なのは、患者さんの病気の程度、すなわち重症度を評価することです。

重症度顔面の片側にある炎症性皮疹
軽症5個以下
中等症5個以上20個以下
重症21個以上50個以下
最重症51個以上

推奨度の分類

分類内容
A行うよう強く推奨する
A*行うよう推奨する(Aに相当する有効性のエビデンスがあるが、副作用など考慮すると推奨度が劣る)
B行うよう推奨する(少なくとも1つ以上の有効性を示す質の劣るレベルⅡか良質のレベルⅢあるいは非常に良質Ⅳのエビデンスがある)
C1選択肢の一つとして推奨する

ニキビ治療薬

面皰治療薬(抗炎症・抗菌作用含む)

1.アダパレン(ディフェリンゲル)
  • 毛包漏斗部の角化を正常化
  • 皮膚刺激、剥離症状あるので、保湿剤を併用する
  • 微小面皰改善作用
  • 急性炎症期、維持期ともに推奨度A
2.過酸化ベンゾイル(ベピオゲル、ベピオローション)
  • 皮膚刺激、角質剥離作用があるので、保湿剤を併用する
  • 酸化作用による殺菌作用がある(耐性菌を誘導しない)
  • 微小面皰改善作用がある
  • 急性炎症期、維持期ともに推奨度A
3.クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル(デュアック配合ゲル)
  • 急性炎症期での第一選択薬剤である。
  • 赤ニキビ、白ニキビにも効く
  • 皮膚刺激、角質剥離作用があるので、保湿剤を併用する
  • 冷蔵庫(2~8℃)で保管する
  • 急性炎症期で推奨度A
4.アダパレン/過酸化ベンゾイル(エピデュオゲル)
  • 毛包漏斗部の角化を正常化する
  • 皮膚刺激、剥離症状あるので、保湿剤を併用する
  • 微小面皰改善作用がある
  • 酸化作用による殺菌作用がある(耐性菌を誘導しない)
  • 萎縮性瘢痕形成予防の作用がある
  • 急性炎症期、維持期ともに推奨度A
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